エジソンの母
『1+1=2じゃない!学校中がグルグル回る』
小学校教師・規子(伊東美咲)、婚約者・美浦(谷原章介)に
「君は美人だがちっとも面白くない」と突然別れを告げられた…
規子のクラスに、大変な問題児だという転校生・花房賢人(清水優哉)が
やって来る!
その母・あおい(坂井真紀)も問題のある母親らしい。
賢人の「どうして1+1=2なの?」の問いかけにクラスは大混乱。
規子は…?
=公式HPより=
「蓄音機、白熱電燈、コンセント、レコードプレーヤー、
映画、アイロン、トースター・・
これらは、全て一人の好奇心旺盛な青年によって
発明されました。
彼の名は・・・トーマス・エジソン。
エジソンはわずか3ヶ月で小学校を中退し、
その後学校へはほとんど行きませんでしたが、
母・ナンシーに見守られ、独学で勉強を続け、
何度も失敗を重ねながらも、それにくじけず、
次々に、偉大な発明をしていったのでした。」
冒頭のナレーションのあと、大人になった賢人(安田顕)の
史上最年少、ノーベル賞受賞式のシーン。
と思ったら、母・あおいの夢でした。
安田さんは『ハケン』で一ツ木さん、『ホタル』で二ツ木さんを
演じていらっしゃいましたね!
「どうして?
どうして僕はどんどん大きくなるのに、
どうしてママはもう大きくならないの?」
「それはね、ママがもう充分に大きいからです。」
賢人が納得するまで一緒に考えてあげるあおい。
好奇心旺盛で、何でも「どうして?」と疑問にもち、
学校からはめんどくさがられ、問題児扱いされる賢人を
あおいは愛情たっぷり注いで育てています。
母は息子の才能を信じているんですね。
いい夢で目覚め、笑顔のあおい。
そして、悪い夢のような出来事を突きつけられて青ざめる規子。
ゴンドラの事故で走馬灯のように過去の出来事が駆け巡ったとき、
何も婚約者の規子のことを思い出さなかった、それが理由。
「君は可愛いし綺麗だし、連れて歩けば自慢にもなる。
でも・・おもしろくない。
おもしろくない。人間としての深さというか、
そういうものが全くないんだ。
口から出る言葉は、三流ドラマの脇役のような平凡さだし、
服装は雑誌の切り抜きみたいだし、
つまらない。なんにも心に残らない。
まあそれでも、綺麗だからいいかなって思ってたんだ。
でもそれは間違ってた。
それは何ていうかつまり・・
家事機能のついた、バービー人形と結婚しようとしてたんだよ。
でもやっぱりそれは出来ないよー。
俺よくよく考えたら子供の頃から、
バービー人形よりキャベツ人形の方が好きだったし。
やっぱ人生は楽しみたいんだよねー。」
婚約者にこんな酷いことを言われてしまった規子、
「怒鳴ったり・・泣いたりしたら・・
もっと面白くない女と思われそうで・・出来なかった。
面白くない・・
面白くない・・
私は・・面白くない・・」
そこへ、秋田から転校生がやって来た。
前の学校でいろいろ問題を起こしたらしい。
算数の授業
猫の数は何匹?の問題に、
「このネコだけヒゲがありません!」と言い出す賢人。
「どうして?どうしてネコを数えるの?」
「足し算?1+1=2??
どうして?
どうして1+1=2なの?」
ミカン(あおいの差し入れ)を使って1+1=2の説明をする規子。
すると賢人はミカンの半分にわけ、1+1=3にしてみたり、
ひとつを8房にわけてみたり、粒に分けてみたり。
「どうして1+1は2なの?
どうして1+1は2なの??」
規子を困らせる。
騒ぎを聞きつけやってきた学年主任の加賀見(松下由樹)は、
チョークを使って説明。
「どうして?
どうして赤いチョークと青いチョークを足すの?」
「・・・それは足し算だからよ。」
「どうしてチョークを足し算するの?」
「・・・それが算数だからよ。」
「どうして僕達算数をするの?」
「・・・」
「どうして僕達勉強するの?」
「それはね、
それはあんたら子供の仕事だからよ!!」
怒りに任せてチョークで黒板を叩くと、チョークは粉々に。
「あ!2個に折れた。
1+1は3だ!」
子供たちも大騒ぎ。
「いい加減にしなさいよ、花房君!」
「いい加減ってなぁに?」
「さっきっから屁理屈はやめなさい!」
「ヘリクツってなぁに?」
「屁理屈っていうのはね、ヘのついた理屈のことよ!
屁よ!屁!」
「先生が屁って言ったぁ!」子供たち、ますます大騒ぎ。
「これが、噂の学級崩壊かぁ!」と副担任の久保(細田よしひこ)。
校庭
すずめが米粒を食べているのを見つめる賢人。
その米を数え出す。
そんな賢人を見つめるクラスメイトたち。
女子は賢人に興味津々。
生徒たちにまで「面白くない」と言われている規子。
さっそく賢人を問題児扱いする加賀見。
生活の時間
校庭で自然について学ぶ生徒たち、
「僕は虹を見た!横に真っ直ぐ、ピーンてなってました。」
「虹がまっすぐなわけないじゃん。」と生徒たち。
「でも見たんだもん。」
「先生、そういう虹ってあるの?」と生徒。
「さあ・・先生もそういう虹は知らないけど・・」
「じゃあ嘘つきだろ!」「嘘つき!!」と男子たち。
「・・・はい!あかね君の言うとおりです。」と賢人。
「ほらみろ嘘つきじゃん。」
「あかね君の言うとおりです。」
「嘘つきめ!!」
「そのとおりなのです!」
「え・・ちょっと待って。グルグルしてきた。
だって、本当にこいつが嘘つきだったら、
あかね君の言う通りっていうのも、
嘘ってことになるじゃん。」と他の生徒。
「嘘だよ。」と賢人。
「全然わかんない・・」と女子。
「だから、花房の嘘が、嘘ってことじゃん。」
「え?じゃあ本当ってこと?」
「本当だよ。」と賢人。
「違うよ、嘘つきって言われてそのとおりって言ってるから
やっぱり嘘つきなんだよ。」
「でも、嘘つきが嘘つきって言ってんだから・・」
「ホント・・ってこと!?」
「嘘つきが嘘ってことは・・えーっと・・」
「ホントだ!!」
「でも嘘つきがホントってことでしょ?」
「うわぁ、すげえ!
なんかこれ、本当と嘘が、ぐるぐる回ってるよ!」
「ぐるぐる回ってる?ぐるぐる回ってる!
ぐるぐるぐるぐる!」
楽しそうにぐるぐる回り出す賢人、そして生徒たち。
「花房君おもしろーーい!!」
生徒たちは賢人に続き、学校を脱走!
聞いていてわからなくなってきた。(爆)
言いだしっぺの少年が賢いなぁ。
彼は賢人のよい友達となりそうです。
加賀見は賢人の母親を早速呼び出すが、数日先まで仕事で来られないと
祖母が答える。
職員室で床を触っていた賢人、
「どうしてこっちはあたたかくて、こっちは冷たいの?」
「はぁ・・・もうやめなさい!
手が汚れちゃうから。」規子は質問に答えようとせず。
あおいは美浦が勤める大学の食堂で働いていた。
あおいの手際の良さに感動する美浦。
美浦は環境情報学部社会文化環境学科准教授。
美浦が部屋に戻ると、規子が待っていた。
昨日腕に包帯を巻いているのが、取れている。
ってことは、仮病?
「驚いたよ、君がこんな予想外の行動をするなんて。」
「納得いかないのよ。埼玉の両親だって、半年後の結婚を
楽しみにしていたのよ。それなのに・・」
「僕も年末、母の墓に結婚の報告に行ったんだ。
そしたら、空に虹がかかってた。」
「虹?それっていい兆しなんじゃない?」
「いや。橋を掛けてくれたんだ。逃げるための。」
「逃げるため?それって、私から?」
「そういう意味じゃなくて。
いや・違うな、間違えた。そういう意味だよ。うん!」
「・・・ほんっとに酷い。
今までだってケンカしたことなかったじゃない。」
「君はいろんな意味で完璧すぎて、ケンカする隙がなかったんだよ。
まあ僕もだけど。
僕も君の前だと頑張りすぎて、そこが面白くない。」
「だからって急すぎる。」
「君は常識もあるし、美人だ。
俺なんかじゃなくてもすぐにいいやつが見付かるよ。」
「はぁ・・やっぱり虹なんかキライ!
やっぱり今年は最悪よ。
婚約者には、面白くないなんて理由で振られるし、
まっすぐな虹だとか、1+1は2じゃないとか言い出す児童がいるし、
嘘つきとか言われて、はいその通りとか!
嘘とかホントとかグルグルグルグル、訳のわかんないこと言って、
ハーメルンの笛吹き男にさらわれるみたいに
みんなでバーってどっかに行っちゃうし!
・・・そうよ・・あの子は・・ハーメルンの・・
悪魔なのかもしれない・・」ぶつぶつ呟く規子。
「ちょっと待って!」
「とにかく!そんな面白くないっていう理由で別れるのに
納得いかないのよ!」
「いやいや、そんな話じゃなくて、
その、嘘つきって言われてそのとおりって答えたのは誰?」
「児童よ。そのハーメルンの悪魔みたいな児童。」
「はー、面白いなぁ。
それはまさに、ソクラテスとプラトンのパラドクス。」
「は?」
「ある時ソクラテスがプラトンにこう言った。
プラトンは嘘つきじゃーッ!
すると、プラトンはこう言い返した。
ソクラテスさんの言うとおりです!
最初のソクラテスの発言がホントだとすると、
プラトンはウソつきで、
プラトンの、"ソクラテスさんの言うとおりです!"
という発言はウソになる。
すると今度は、最初に仮定した、
"プラトンはウソツキじゃ"、というソクラテスの発言が嘘になってしまう。
つまり、プラトンは正直者。
逆にソクラテスの発言を嘘だと仮定すると、
プラトンの、"ソクラテスさんの言うとおりです!"が、
本当の発言となり、
ソクラテスの、"プラトンはウソつきじゃーッ!"が、
ホントということになってしまう。
つまり、プラトンはウソつき。
自己言及に対しての相互言及。
つまりこれは、ウソとホントがぐるぐる回る、パラドックスなんだ!
わかるかい!?」
「いいえ全然。」
「その笛吹き少年は、もしかしたら天才かもしれないぞ!」
「天才なわけないでしょう?
1+1がわかんないのよ。
ソクラテスもプラントンもどうでもいいのよ!
私が言いたいのは、私達のこれからの話!!」
「そこだよ!
1+1は2だと、それが当たり前だとしか考えられない君!
そこが面白くないんだ。」
「・・・」
「いいかい?君に何がわかる?
1+1は2だ!
でも2じゃない場合だってある。」
そこへ、学生たちがやって来た。
「丁度いい。1+1は何かを述べよ。」
「2進法では当然1+1は10ですね。」
「コンピューター世界の定義でも、1+1=10です。」
学生たちが次々と答えだす。
「学生が考えただけでもこれだけの可能性がある。
多くの人間にとっては、1+1=2が、
感覚的に一番しっくりくるだろう。
だがこれは、算数というローカルなゲームのひとつのルールであって、
実際にはもっと沢山の可能性がある。
というか、可能性というのは、好奇心があるだけ生まれていく
ものなんだ。」と美浦。
「・・・」
「それを、1+1=2としか言えない君!
2以外の可能性を全て消して、子供の純粋な好奇心を無視する
ことしか出来ない君は・・・やはりとても面白くない人間だな。
僕は僕がいつか父親になる日が来るとして、
絶対に君みたいな教師に子供を任せたくない!
ちなみにまっすぐな虹もこの世に存在する。
水平環といって、国内でも年に数十回観測される光学現象だ。」
「・・・何なのよ、それ!
え!?
1+1、1+1って、何なのよみんなで!!
いい加減にしなさいよ!!
1+1=2よ!
え!?
ピタゴラスやブーリやロンリが何と言おうとも、
私の教科書では1+1=2なんです!!」
激怒して立ち去る規子。
「面白い!
あいつが始めて面白かったぞぉぉ!!」
婚約解消、解消に向けての第一歩!
激怒する伊東さんがカワイイです。
子供たちから賢人のことを聞いた親たちが職員室に乗り込んでくる。
加賀見も規子も平謝り。
「その子、学習障害じゃない?」と言い放つ青柳(杉田かおる)。
さすが杉田かおるさん!すごい迫力です。
親たちの勢いに、賢人を特別学級のある学校へ転校させようと
主張する加賀見。
「父兄にあんなこと言われて悔しくないの!?
文句を言う前に、あなたがしっかりして頂戴!!」
加賀見の怒りは規子に向けられた規子、放課後に花房家を訪ねていく。
八百屋の前で出会う二人。
「誰だろう、この八百屋に似合わない美人は・・」(あおいの心の声)
「誰だろう、このいかにも、幸薄そうな女は・・」(規子の心の声)
「あの、すみません。こちらにお住まいの花房君の担任の、
鮎川と申します。」
「え!?あー!先生ですか!
はじめまして。私、賢人の母親でございます。」
「え!?」
「どうぞ上がって下さい。
今丁度夕飯にしようと思ってたとこなんです。」
あおいに押し切られ、規子は家の中へ。
沢山の本に囲まれ、鼻歌を歌いながら何かを一生懸命作っている賢人。
「やっぱり、賢人がご迷惑をおかけしましたか。
すみません。」
そう言い、鍋を勧めるあおい。
「賢人は本当に、すごくいい子なんです。
ただ、ひとつのことに興味を持つと、もう止まらなく
なってしまって。
勉強が嫌いなわけじゃないんです、むしろ大好きなんです。
私は実は大嫌いだったんですけどね!
・・ほら、賢人!」
賢人がやっと工作をやめて食卓につく。
「そこら辺の本も、全部賢人ので。」
「これ全部・・賢人君の?」
「夫が、買い与えたんです。
ま、もう別れたんですけど。
私がのんびりだから、他の女と逃げちゃって。」
「え・・」
「秋田は夫の実家だったもので、
居場所がなくなってしまって、それでこの、母の家に。」
「そうだったんですか・・」
「はい。33になって、バツイチ子持ちの出戻りです。」
「33・・」
「賢人のためになるならって、仲よし学級のある小学校も考えました。
でも私の仕事、時間の融通が利きにくいし、
一人で通えない遠くの学校へ通わせるのは、やっぱり無理なんです。
お願いします、先生。転校させないで下さい!」
「33・・33って3年後・・
私結婚してるかどうかわかんないな・」
「え?
先生、おいくつなんですか?」
「30になったばっかりです。」
「へー!そうなんだ!
もっとお若いかと思ってました。
賢人、先生ね、ママの3つ年下なんだって!」
「え?何年生?」
「何年生じゃなくて、30歳なの。
ママが、小学校4年生の時に、先生が、小学校1年生。」
キャベツ畑人形を思い出し、キャベツを拒否する規子。
そこへ、賢人の祖母・チエが帰って来た。
「あら!賢人の先生!」
「もし良かったらこれお持ちになって。」
断りきれずにキャベツを箱ごといただく規子。
「あの・・お邪魔しました。
このままだと私、雰囲気に飲まれそうではなく・・
雰囲気がよくて長居してしまいそうなので、失礼します。」
規子はそそくさと花房家を出ていく。
「なんかペース狂うな、あの母親・・。」
キャベツを見つめて大きなため息。
友達と理科室に道具を返しに行った賢人は、
テーブルに寝かされた人体模型に興味津々。
「起こしてあげよう!
前に本で読んだよ。
体に強い電気を通すと人は生き返るんだよ。」
賢人が読んだのは、フランケンシュタインの本。
「そうだ!このコンセントとくっつけてみよう!」
「おーっ!!」
人体模型を運ぶ三人。
丁度その時、理科室の前の廊下を通りがかった加賀見とクラスの生徒は、
理科室を動く人体模型にびっくり!
賢人たちは模型を落としてしまう。
お尻をかきながら(意味はあるのかな?)理科室から出てくる賢人と友達。
「またあなたなのね!
なんでこんなことするの!?」
「だって、コンセントにつなげようと思って。」
「何で人形をコンセントみたいにつなぐの!?」
「だって、電機を通したら生き返るかもしれないと思ったから。」
「人形が電気なんかで生き返るわけないでしょう!
何考えてんのよ!!」
丁度学校を訪ねてきたあおいは、賢人を抱きかかえて平謝り。
「すみません!
うちの子が、何か迷惑をおかけしましたでしょうか。
すみません!!」
「お母さんですか!?」
「そうです。本当に、すみません!」
「でも、だって、電機を通したら生き返るって、」と賢人。
「黙りなさい!
あなたバカじゃないの?
あなたは脳みそが腐ってるわ!
腐ってるの!
あなたの家のお子さんみたいな児童がいると、
学校が迷惑なんですよ!!」
「すみません、私の不注意で、」駆けつけた規子が言う。
「・・・腐ってない・・。
確かに、うちの息子は変わってます。
ちょっと、ほかの子とは違っているかもしれません。
でも・・賢人は・・賢人の脳みそは・・腐ってなんかいません。
成績悪いし、変わったこともします。
でも・・本が大好きなんです!
学校や、お友達が大好きなんです!
家族や友達を思いやる心を持っています。
いっぱいいいところもあるんです!
家計が楽じゃないのをわかっていて、お年玉なんか全部ためて、
私にくれたんです。」
「ご家庭の、家計の話は関係ありません。」と加賀見。
「・・・ご迷惑をおかけしたことは謝ります。
すみません。
これからも、色んな失敗をするかもしれません。
でも・・腐ってるなんて言葉で切り捨てたりしないで、
どうか、見守ってやってほしいんです。
この子の心の中にある、キラキラした好奇心を、
いろんなこといっぱい知りたいなって思う気持ちを信じて、
見守ってあげてほしいんです。
お願いします。どうか、どうか、お願いします。」
母の必死な思いに、生徒たちを連れて立ち去る加賀見。
あおいは賢人を抱きしめ優しく微笑むと、
母に抱きしめられ安心したように微笑み返す賢人。
そんな二人をあおいは見つめ・・・。
教室、二人で話す規子と賢人。
「逞しいね、花房君のお母さん。」
「先生、どうして1+1は2なの?」
「うーん、多分ね、1+1が2っていうのは、
ただの決まりごとなんだよ。
世の中には本当は、1+1が2じゃないことも沢山あるんだって。
でも今は、1+1は2なの。
そうやって前に進んだら、足し算も引き算も、掛け算も割り算も、
方程式も世界の形だって、いろんなことがわかってくるように
なるんだよ。
もしかしたら、電気で人を生き返らせる方法もね。
だからとりあえずは、1+1は2なの。
・・・とか言っても、わかんないか。」
「・・・わかった!
先生、1+1は2です。」
「どうして?どうしてわかったの?」
「パパがいなくなったときにママも言ってた。
とりあえず、前に進むのよって。
前に進んだら、いろんなものが見えるんだよって。」
「そっか。」
「うん!
1+1は2。
1+1は2だから、1+1+1は3。
1+1+1+1=4!」
「そうそう!」
「僕、前に進んだよ。」
「・・ね!前に進んだね!」規子の瞳には涙。
「1+2=3、1+4=5!
お!なんだか楽しくなってきた!」
「ね!なんだか楽しくなってきたね!
なんで・・泣いてるんだろうね、私。
楽しいのにね!」
「・・・」
「そうそう。進まなきゃね。
結婚なくなっても、男にボロクソ言われたって、
前に進まなくちゃね!」
泣きながら微笑む規子を、賢人は黙って見つめている。
そこへあおいがやって来た。
「どうもすみません。
え・・どうしたんですか、先生!
賢人・・もしかして先生泣かしたの!?
もう、あんたは何やってんの!」お尻を叩くあおい。
「違うよー!」逃げる賢人。
涙を拭い、楽しそうに笑う規子だった。
帰り道
「ママ・・ごめんね。」
「いいんだよ。
賢人は今までどおり、やりたいように、
心のままに生きなさい。」
「・・・」
「わからないことがあったら、わかったふりなんてしなくていい。
ママのことも気にしなくていい。
心のままに生きるの。
ね!」
「うん!!」
仲良く歩く二人に、美浦が声をかける。
「あれ・・あなたは・・学食の人じゃないですか!!」
「あ!いつもA定職頼んでいる教授さん!」
「准教授です。
驚いたなー。お子さんいらしたんですね。」
「ええ。」
賢人を見つめる美浦。
「こんにちは!」
「・・・」
職員会議
「あの親にしてあの子ありです!
人体模型に電機を通そうなんて、全くどうかしています!
今度このようなことがあると、児童全員に迷惑がかかり、
授業の進行の妨げになることが予想されます。
二度とこのような事態が起こらないように、」
加賀見の意見を聞きながら窓の外を見つめる規子。
空に、まっすぐな虹がかかっていた。
「今年は多分、本当についていない。」
教室
生米を食べる賢人。
「それ生のお米じゃん。」
「うん。これを食べると鳥みたいに空を飛べるんだよ!」
「えーーーっ!」
賢とはお手製の鳥の羽を両腕につけてみる。
「それでも、とりあえず私は、
一歩前に進むのだ!」
規子が教室のドアを開けたした時、お手製の羽をつけた賢人が、
ベランダから飛び下りようとしていた!